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外出先でも「タバコ禁止」?受動喫煙の健康被害とは

執筆者:今村 甲彦

医師 / 胃腸科・内科の病気

タバコの煙は毒!喫煙者本人よりも周囲が困る理由

タバコの煙

タバコから出る煙は、喫煙者が吸っている煙よりかなり危険です!

喫煙している本人が口から直接吸い込む煙(主流煙)だけではなく、吸っているタバコの先から出る煙(副流煙)にもたくさんの有害物質が含まれています。

副流煙はフィルターを通していない煙で、タバコを吸うときと違い不完全燃焼の状態で発せられるので、喫煙者が吸っている煙よりはるかに多くの有害物質を含んでいます。

その有害物質の一つとして、一酸化炭素があります。一酸化炭素というと、練炭(れんたん)など炭素を含むものが燃焼する際、酸素が不十分な場合に不完全燃焼を起こして発生する有毒ガスです。

一酸化炭素はニコチンとともに動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすといわれています。また、酸素の200倍以上も血液に溶け込みやすく、酸素の運搬を妨害し、持久力や作業効率を低下させる作用があります。

タバコの煙には、ニトロソアミンという発癌物質も含まれています。副流煙に含まれているニトロソアミンは、主流煙のなんと50倍もあります。

この他にも、以下のように、副流煙にはさまざまな有害物質が含まれています。

タバコの副流煙に含まれる有害物質(主流煙との比較)

<心臓血管・呼吸器毒性物質>
・ニコチン・・・2.6~3.3倍
・一酸化炭素・・・2.5~4.7倍

<呼吸器毒性物質>
・窒素酸化物・・・4~10倍
・アンモニア・・・40~170倍
・ホルムアルデヒド・・・0.1~150倍

<各種発がん物質>
・・・1~50倍
(喫煙と健康問題に関する検討会編:新版 喫煙と健康 保健同人社を基に作成)

受動喫煙により起こる健康被害……妊婦と子供は特に危険!

泣いている子供

受動喫煙は、妊婦・子供には特に危険です!

タバコを吸わない人が、他の人のタバコの煙を吸い込んでいることを「受動喫煙」といいます。

受動喫煙により、すぐにあらわれる症状としては、目やのどの痛み、咳、心拍数の増加、手足の冷えなどがあります。

長期的には、心筋梗塞や狭心症で死亡する可能性が1.3~2.7倍に上昇するほか、脳卒中や喘息などのさまざまな病気を発症する危険性が高くなることがわかっています。

特に妊婦や子供は危険性が高く、妊婦では流産や早産、新生児の低体重化、子供では呼吸器系の病気の他、言語能力の低下や注意力が散漫になるなどの影響があることが指摘されています。

吸わない人も、知らないうちに「喫煙」している!?

歩きタバコ

知らないうちに受動喫煙していることも……

家庭で、家族の人が吸うタバコの煙を吸い込むことがあります。レストラン等の飲食店で、他の人のタバコの煙が流れてくることがあります。通勤・通学時に歩きながらのタバコの煙や、バス停などで誰かが吸っているタバコの煙が流れてくることもあるかもしれません。

タバコを吸わない人でも、日常生活のさまざまな場面で、他の人のタバコを吸わされています。受動喫煙があると、タバコを吸わない人の体内からもタバコの煙の成分が検出されます。吸わない人も、自分の意志と関係なく喫煙していることがあるのです。

法律も「受動喫煙防止」を後押し

受動喫煙を防止する法律も平成14年に制定されています。健康増進法第25条では、受動喫煙による健康への悪影響を排除するために、多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙防止を防止する措置をとる努力義務が課されています。

-健康増進法(第25条)-
「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内またはこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」  

タバコを吸う人だけでなく、タバコを吸わない人も受動喫煙により、命や健康に影響が及ぶことが明らかになっています。妊婦や子供は、影響が大きいので特に注意が必要です。


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初回公開日:2015年01月27日 15:47:31